本作の真髄は、モロッコの風土が醸し出す神秘性と、人間の世俗的な欲望が交錯する瞬間の滑稽さを、極上の喜劇へと昇華させた点にあります。ベルナール・ファルシーの圧倒的なコメディセンスが、文化の壁を超えた普遍的な可笑しさを引き出し、観る者を理屈抜きの笑いへと誘います。
アハメッド・ブラーヌ監督は、迷信という形のない存在をメタファーとして用い、現代人が忘れがちな「未知なるものへの敬意」を鋭くも優しく問いかけます。色彩豊かな映像美と軽快なリズムに身を任せれば、硬直した価値観が溶け出し、世界を再発見するような開放感を味わえるはずです。