あらすじ
一緒に住んでいるミュージシャン志望の恋人の夢をかなえるため、ツチダ(臼田あさ美)がキャバクラで働き生活を支えている一方、曲が書けないせいいち(太賀)は仕事もせず自堕落に過ごしていた。しかし、ツチダがキャバクラの客(光石研)と愛人関係になり、生活費を稼いでいることを知った彼は改心して働きだす。一方、今も好きな元恋人ハギオ(オダギリジョー)と再会したツチダは、彼との関係にのめり込み……。
作品考察・見どころ
本作は、愛と依存の境界で揺れ動く心の機微を、剥き出しのリアリズムで描いた傑作です。臼田あさ美が体現する「空っぽな献身」と、仲野太賀の痛々しいほど情けない存在感が、観る者の古傷を容赦なく抉ります。日常に潜む倦怠感を切り取った映像は、どこまでも美しく、それゆえに逃げ場のない切実な真実を突きつけてきます。
何者にもなれない焦燥感と、過去の男という毒に溺れる危うさ。キャスト陣の生々しい息遣いは、単なる恋愛映画を超えた「生」の記録です。言葉にならない溜息や、湿り気を帯びた空気感までをも捉えた演出は、観客を登場人物たちの孤独な熱量の中へと引きずり込み、胸を締め付けるような深い余韻を残します。
映画化された原作や関連書籍を読んで、映像との違いや独自の世界観を楽しみましょう。