東京でトラウマを抱えた雪子は、母・初子が遊郭を経営する京都に戻る。
溝口健二監督が描く、京都・嶋原を舞台にした情念のドラマです。田中絹代の凄絶なまでの円熟味と、久我美子の凛とした若々しさが火花を散らす母娘の対峙は見逃せません。美術が醸し出す伝統的な美意識と、戦後の移り変わる価値観の衝突が、映像の端々にまで凄まじい緊張感を与えています。 宿命に抗おうとする女性の悲哀が、徹底して抑制された演出によってかえって鮮烈に胸に迫ります。一つの愛を巡る葛藤を通じ、女性が背負わされる業と救済を鋭く問いかける傑作です。光と影が織りなす構図の完璧さに、映画という芸術の真髄を感じずにはいられません。
映画化された原作や関連書籍を読んで、映像との違いや独自の世界観を楽しみましょう。
監督: 溝口健二
脚本: 成沢昌茂 / 依田義賢
音楽: 黛敏郎
撮影監督: 宮川一夫
制作会社: Daiei Film