エジプト喜劇の至宝モハメド・ヘネディの真骨頂が、異国の地で爆発する本作は、単なるドタバタ劇に留まらない「自己変革」の強さを秘めています。臆病な主人公が直面する文化の壁を、持ち前のユーモアで突破する姿は、観る者に深いカタルシスを与えます。ヘネディの卓越した表情演技と異国情緒が織りなすミスマッチの妙は、極上のエンターテインメントへと昇華されています。
作品の根底にあるのは、言葉を超えた「人間の善意」への信頼です。個人の恐怖心が勇気へと塗り替えられていく過程が、映像ならではの軽妙なテンポで描かれます。自分とは異なる世界を愛することで、人は真の強さを手に入れられるという普遍的な真理を、本作は熱く語りかけてくるのです。