あらすじ
アメリカ留学から帰国した北里可奈子は、死の間際に母の浪子から衝撃的な告白を受ける。コールガール殺人事件を目撃した浪子は、娘を殺すと脅迫されたため、無実の人間に罪を着せ自殺に追い込んでしまったのだという。真犯人は北里家の身近な人間だというが、その名を告げる前に息を引き取ってしまった。浪子の通夜が行われ、北里産業の雇われ社長の円谷、その息子で可奈子に結婚を迫る正彦、無表情で得体の知れない社長秘書の水原、主治医の菊井など、怪しい人間が続々と現れる。
作品考察・見どころ
赤川次郎の軽妙な文体を、80年代角川映画特有の華やかさとポップな色彩感覚で昇華させた本作は、ミステリーとコメディが絶妙なバランスで共存する稀有なエンターテインメントです。渡辺典子の透明感あふれる瑞々しい演技は、不条理な連続殺人という非日常を、まるで日常の延長線上にある冒険のように軽やかに描き出し、観る者を一気に物語の渦へと引き込みます。
原作小説が持つドライなユーモアとスピード感を維持しつつ、映像ならではの贅沢な美術や松任谷正隆による洗練された音楽が、活字だけでは表現し得ない重層的なムードを構築しています。凄惨なはずの事件がどこか浮世離れしたファンタジーのように映る演出は、時代の空気を纏った実写映画だからこそ到達できた表現の極致と言えるでしょう。
映画化された原作や関連書籍を読んで、映像との違いや独自の世界観を楽しみましょう。