香港映画の黄金期が放つ、儚くも美しい「時の結晶」のような作品です。ガラスのように繊細な愛の形が、返還に揺れる香港の情景と重なり、深い郷愁を呼び起こします。メイベル・チャン監督による光の演出は、移りゆく都市の息遣いを記憶に封じ込めようとする祈りに満ちており、映像そのものが芸術的です。
レオン・ライとスー・チーが魅せる愛は、失われゆく時代へのレクイエムに他なりません。愛の本質が「形」ではなく「記憶」の継承にあることを描く構成は、鑑賞後も消えない鮮烈な余韻を残します。魂に刻まれた情熱は永遠に輝き続ける。そう信じさせてくれる、至高のロマンティシズムがここにあります。