三島由紀夫という不世出の文豪が俳優として主演を務めた本作は、増村保造監督の冷徹な演出と相まって、異彩を放つハードボイルドの傑作となっています。三島の硬質でどこか滑稽なまでのヤクザ像は、虚勢を張る男の孤独と刹那的な生を鮮烈に体現しており、その肉体から放たれる異様な存在感に圧倒されます。
若尾文子の凛とした美しさや志村喬の重厚な演技が、三島の「異物感」を際立たせ、物語に深い陰影を与えています。乾いた風のように都会を疾走する魂の虚無と、死の予感に満ちた衝撃的なラストは、映像でしか成し得ない強烈な美学に貫かれています。肉体とスクリーンが火花を散らす、日本映画史における類まれな緊張感をぜひ目撃してください。