本作の真髄は、ホルヘ・ドリアら伝説的名優が放つ圧倒的なエネルギーにあります。単なる喜劇を超えた、役者同士の絶妙な間合いと表情の機微が、日常の裏側のカオスを鮮やかに描き出します。七〇年代ブラジル映画特有の色彩と都会の熱気が、視覚的な愉楽として見事に昇華されています。
権威が崩壊する様を笑いに変える風刺精神こそ本作の核心です。体裁と本能が衝突するカオスは、観る者に固定観念からの解放という爽快感を与えます。人間の愚かさを肯定し、愛を込めて描き出す演出は、現代にも通じる普遍的な人間味に溢れ、その情熱的な熱量に圧倒されることでしょう。