小津安二郎という巨星が、いかに世界の作家に静かな革命をもたらしたか。本作はアキ・カウリスマキやクレール・ドニといった鬼才たちが、一人の「師」を仰ぐ瞳を通じて表現の極意を解き明かす珠玉のドキュメンタリーです。自身の作家性と小津の様式美を照らし合わせる姿は、時を超えた至高の対話と言えるでしょう。
単なる技術論ではなく、小津作品に宿る「沈黙」や「余白」がいかに異国の地で血肉化されたかを熱く語る姿が胸を打ちます。言語を超えて響き合う映画の魂、日常を祈りのように切り取る眼差し。創作の根源に触れる、あまりに贅沢で情熱的な映画的体験がここにあります。