溝口健二監督の遺作にして最高傑作の一つ。京マチ子の野性味あふれる躍動や若尾文子の冷徹なまでの美しさが、単なる社会派ドラマを超えた圧倒的な生命力を放ちます。廃止法案に揺れる吉原で、生を繋ぐために諍い、笑い、泣く女性たちの姿を、溝口特有の容赦ないリアリズムで見事に活写しています。
カメラが映し出すのは、欲望と絶望が交錯する街の生臭いリアリティです。救いのない現実を突きつけながらも、そこにある個の尊厳と凄絶なまでのサバイバル精神を、洗練された映像美で描き切っています。時代の荒波に呑まれながらも強く生きる女たちの叫びが、今なお観る者の魂を激しく揺さぶる不朽の名作です。