ヴィットリオ・デ・シーカが魅せる、小悪党から英雄へと変貌を遂げる圧巻の演技こそが本作の神髄です。偽りの将軍を演じるなかで、虚像であったはずの高潔な精神が内面に宿り、本物の魂へと昇華していく過程は映画史に残る奇跡といえるでしょう。人間の尊厳がどこから生まれるのかを、デ・シーカの震える指先と眼差しが見事に体現しています。
ロベルト・ロッセリーニ監督は、戦争という極限状態で「虚飾が真実へと変わる」崇高な人間ドラマを描き出しました。自己保存のために生きてきた男が、最期の瞬間に真の勇気を見出す姿は、いかなる人間にも再生の機会があることを力強く告げています。観る者の道徳心に激しい揺さぶりをかける、魂を震わせる無二の傑作です。