今村昌平監督の極致と言える本作は、人間の本能を人類学的な視点で見つめ、そこから溢れる滑稽な生命力を描き出しています。主演の小沢昭一が見せる、哀愁と狂気が入り混じった熱演は圧巻です。社会の底辺で欲望に忠実に生きる人間の業を、あまりに鮮烈にスクリーンへ焼き付けています。
野坂昭如の原作が持つ毒を、監督は独自のリアリズムで見事に映像化しました。活字を超え、美術の細部にまで宿る土着的なエロスとユーモアの融合は、映画でしか到達し得ない高みへ観客を誘います。倫理を突き抜けた先にある純粋な生のエネルギーに、魂が激しく揺さぶられる唯一無二の傑作です。