本作の本質は、近代化の波に洗われる家族の肖像を、滑稽さと切なさが同居する絶妙な筆致で描き出した点にあります。父権の揺らぎや世代間の断絶という普遍的な痛みを、王童監督らしい温かな眼差しで救い上げているのが見事です。日常の些細なやり取りに潜む愛着と孤独が、観る者の心の深淵に静かに、しかし力強く染み渡ります。
名優・李昆が見せる、誇りと困惑が入り混じった父親像は言葉以上の説得力で迫り、文英らの卓越した演技が当時の社会の体温を伝えます。映像で可視化された心の機微は、時代を越えた共鳴を呼び起こし、私たちが失いかけている絆の正体を情熱的に問いかける、映画史に刻まれるべき傑作といえるでしょう。