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本作の真髄は、狂信的な大義と普遍的な人道主義の境界線上で揺れ動く、人間の剥き出しの脆さを描いた点にあります。閉鎖空間で繰り広げられる濃密な心理劇は、目的のために手段を選ばぬことの是非を、観客一人ひとりの倫理観に鋭く突きつけます。モノクロームの陰影が際立たせる静かな緊張感が、登場人物たちの孤独な葛藤を重厚に可視化しています。 ピエール・フレネーとミシェル・オークレールによる、火花散るような視線の応酬は圧巻です。言葉を削ぎ落とし、沈黙と「間」の演出だけで極限状態に置かれた人間の深淵をえぐり出す手腕は見事という他ありません。時代を超えて響く普遍的なテーマが、冷徹なまでに研ぎ澄まされた映像美によって結実した、サスペンス映画の傑作です。
監督: Alex Joffé
脚本: Alex Joffé / Jean Le Vitte
音楽: Paul Misraki
撮影監督: Léonce-Henri Burel
制作会社: Cinégraphic / Coopérative Générale du Cinéma Français / Films Régent