この作品の真髄は、歴史の荒波に揉まれる巨人の「孤独」と「揺らぎ」を、冷徹かつ詩的なまなざしで切り取った点にあります。主演のピエール・ヴェルニエが見せる演技は圧巻で、英雄シャルル・ド・ゴールという偶像を剥ぎ取り、一人の老いた政治家が直面する限界と苦悩を、静かな狂気とともに体現しています。
緻密な演出が映し出すのは、時代の終焉を悟った男の美学です。権力の絶頂から静かに退場しようとする者の心理描写は、観る者の心に深い余韻を残します。単なる歴史ドラマの枠を超え、変革期における個人の尊厳といかに対峙すべきかを問いかける、魂を揺さぶる一作と言えるでしょう。