あらすじ
念願かなって、めでたく懐妊したみち子さん。定期検診につきそい出産に立ち合う伝助は、例によって仕事は二の次。また、伝助と一之助の良き仲間である太田丸の船長・太田八郎(中本賢)は、しっかり者の妹・町子(佐野量子)と幸せな日々を過ごしている。 ところが、鈴木建設営業三課に勤める一之助の甥・和彦(尾美としのり)は、仕事よりも趣味に生きる自由人の伝助に憧れ、浜崎家に出入りするうちに、町子と交際を始める。しかし、それが面白くない八郎は和彦と大ゲンカ。理解のない兄貴に反発した町子と和彦は、ついに駆け落ちしてしまうが・・・
作品考察・見どころ
西田敏行と三國連太郎の絶妙な掛け合いは、本作で至高の域に達しています。組織の論理に縛られず「好き」を貫くハマちゃんの姿は、孤独な権力者であるスーさんだけでなく、観客の心をも解放します。日常の些細な幸せを慈しむ石田えりの瑞々しい存在感も、作品に温かな体温を与えています。
原作の持つシニカルな処世術という魅力を継承しつつ、映画はそれを多幸感溢れる人間賛歌へと昇華させました。紙面では表現しきれない、西田の躍動する肉体表現と三國の繊細な表情の変化が、実写ならではの圧倒的な説得力を生んでいます。この二人の魂の共鳴こそが、本作を単なる娯楽作以上の名品へと押し上げているのです。