ハリウッド黄金時代を築いた伝説的プロデューサー、デヴィッド・O・セルズニックの狂気とも言える情熱を、本作は鮮烈に描き出しています。単なる記録映像の羅列ではなく、一人の人間が巨大な映画産業といかに対峙し、不朽の名作を生み出したかという創造の深淵に迫る視座が実に見事です。ヘンリー・フォンダの重厚な語りが、映画史の裏側に潜む緊迫感をより一層引き立てています。
最大の見どころは、膨大なメモやオーディション映像から浮かび上がる、完璧主義者の孤独と執念です。イングリッド・バーグマンら名優たちの瑞々しい素顔を捉えつつ、芸術と商業の狭間で揺れる表現の本質を鋭く突いています。一本の映画に人生を賭けることの崇高さを、我々観客の魂に力強く訴えかけてくる、映画愛に満ちた至高のドキュメンタリーです。