本作の核心は、主演の五月みどりが放つ、円熟味を帯びた圧倒的な「女の情念」にあります。単なる官能映画の枠を越え、彼女が体現する気品と危うさが、銀幕全体に濃厚な色香を漂わせています。覗き見的な好奇心を煽りつつも、一人の女性がスキャンダルという荒波の中で見せる気高さは、観る者の視線を釘付けにする魔力を持っています。
また、脇を固める小松方正らの重厚な演技が、虚飾に満ちた都会の闇をリアルに描き出しています。刹那的な快楽と表裏一体の虚無感、そして「10秒」という言葉に込められた生と死の緊密なコントラスト。それは映像美によってのみ到達できる、人間の隠された多面性を鮮烈に炙り出した、極上のエロティック・サスペンスと言えるでしょう。