本作は、一人の天才が音の粒子を用いて東京という都市を再構築していく、極めてスリリングな創造の記録です。シンセサイザーに向き合う坂本龍一の鋭い眼差しは、まるで未来を予見する預言者のようであり、彼が紡ぎ出すデジタルな音像が、当時の猥雑でエネルギッシュな街の風景と鮮やかに共鳴していく様は圧巻の一言に尽きます。
高橋幸宏や矢野顕子との交錯も、単なる共演を超えた音楽家としての純粋な対話であり、作品に深い情動を与えています。音響と映像が溶け合う中で「音楽を思考する」ことの深淵に触れる、芸術的ドキュメンタリーの傑作。80年代という特異な時代の空気を、これほどまでに濃密かつ知的に切り取った映像は他に類を見ません。