あらすじ
雨の夜、ユリとケンは車に見知らぬ娘を乗せた。しかし、その娘の気味悪い言動に頭に来た二人は、娘を車から突き落とした。娘は死んだ。二人はズブ濡れになって、その死体を隠匿した後、少しでも恐怖から逃れようと抱き合った。ユリとケンはその後も何度かセックスを重ねるが、何かもの足りない。あの夜の恐怖から湧きあがった異常な興奮が忘れられないのだ。ユリはひるむケンを挑発し、今度は美少女を狙った。今は使われていないボ...
作品考察・見どころ
本作は、七〇年代の日活ロマンポルノが到達した、狂気と美学が交錯する都市型スリラーの傑作です。長谷部安春監督による鋭利な演出は、夜の街に蠢く孤独と欲望を容赦なく切り取り、単なるエロティシズムの枠を超えたフィルムノワールとしての品格を漂わせています。闇に沈む都会の冷徹な空気感と、突如として噴出する暴力の鮮烈なコントラストは、観る者の視覚に深く突き刺さるでしょう。
桂たまきをはじめとする俳優陣が体現する、極限状態の心理描写も見逃せません。人間の奥底に潜む破壊衝動と、愛を渇望する悲哀が複雑に絡み合い、観客を出口のない迷宮へと誘います。欲望の果てに何が残るのか。凄惨なまでの美しさを纏った映像美の裏側に、現代社会が抱える孤独の本質を鋭く問いかける、熱量の高い野心作です。