マージョリー・メインとパーシー・キルブライドによる完璧な喜劇的呼吸こそが本作の真髄です。活気溢れる「マー」と極限まで脱力した「パー」の対照的な掛け合いは、もはや様式美の域に達しており、観る者を理屈抜きで幸福な笑いへと誘います。彼らの円熟した演技は、騒々しい大家族の日常を至高のエンターテインメントへと昇華させています。
洗練された都会の価値観を、田舎町の温かい混沌が軽やかに凌駕していく様は実に痛快です。緻密に計算されたドタバタ劇の底流には、他者をありのまま受け入れる寛容な精神が息づいています。効率主義の現代人が忘れかけた「心の豊かさ」を笑いと共に再発見させてくれる、人間味に溢れた珠玉のヒューマンコメディと言えるでしょう。