『喜劇 急行列車』に続き、瀬川昌治監督&渥美清が再び組んだ列車シリーズ第2作。愛媛県の奥道後温泉近くの小さな駅に勤務する独身男・彦一が、迷子を巡って大騒動。その子の母親に一目惚れして、さらなる騒動に発展していく。
渥美清と小沢昭一という喜劇界の至宝が火花を散らす、人間味溢れるアンサンブルが本作最大の白眉です。国鉄という巨大組織の規律と、現場で蠢く泥臭い人情の板挟みを描く演出は、高度経済成長期という激動の時代において日本人が守ろうとした「心の余裕」を鮮やかに浮き彫りにしています。 特筆すべきは、騒乱のコメディを格調高い人間ドラマへと昇華させる笠智衆の存在感です。鉄道という動く密室を舞台に、組織の歯車でありながらも個としての矜持を失わない人々の姿は、現代を生きる私たちの胸にも熱く響きます。笑いの裏側に潜む一抹の切なさと、明日への活力を与えてくれる圧倒的な肯定感に満ちた傑作です。
監督: 瀬川昌治
脚本: 舟橋和郎
音楽: 木下忠司
制作: 大川博
撮影監督: 坪井誠
制作会社: Toei Company