本作が描き出すのは、重力に抗い、刹那の解放を求める魂の震えです。閉塞した日常から一歩先へと踏み出そうとする若者たちの焦燥が、ヒリつくような映像美によって鮮烈に刻まれています。黒木永子の瑞々しさと高橋和也の危うい熱量が交錯する中、原田芳雄が醸し出す重厚な色香が作品に深い奥行きを与えており、その俳優陣の化学反応こそが最大の白眉と言えるでしょう。
演出面では、目に見えない心の飛翔を静謐かつダイナミックに表現しており、観る者はいつしか登場人物たちの痛みと希望を自身のものとして共有してしまいます。不器用な情熱が閃光のように弾けるその瞬間、私たちは失われつつある純粋な生命の輝きを、まざまざと見せつけられるのです。