クリスティアーネ・ヘルビガーとエルヴィン・シュタインハウアーという名優二人の、丁々発止のやり取りこそが本作の真骨頂です。コメディの枠を超え、長年連れ添った夫婦の絶妙な距離感と情愛を、軽妙かつ優雅な演技で体現しています。スクリーンから溢れ出す熟練のコンビネーションが、笑いの中に温かな感動を呼び起こします。
人生の機微をシニカルなユーモアと慈愛に満ちた眼差しで描き切る演出は実に見事です。何気ない会話に潜むウィットや、ふとした瞬間に見せる繊細な表情の変化が、映像表現ならではの豊かさを生み出しています。愛の本質を軽やかに問いかける本作は、人生を謳歌する大人にこそ捧げたい、至高の人間賛歌と言えるでしょう。