ノーマン・ウィズダムの真骨頂とも言える身体を張ったスラップスティック・コメディが、戦争という極限状態を鮮やかな笑いに変えています。特筆すべきはウィズダムによる一人二役の妙技です。小心者な労働者と威厳ある敵将軍という対極の存在を見事に演じ分け、権威の滑稽さと個人の尊厳を浮き彫りにする演出は、単なる喜劇の枠を超えた鋭い社会批評を感じさせます。
規律を重んじる軍隊組織の中で、文字通り「四角い穴に丸い釘」を打ち込むような異分子が巻き起こす混沌は、観る者に型にはまらない生き方の美しさを提示します。オナー・ブラックマンの凛とした存在感も作品に気品を添えており、絶望的な状況下でも人間性を失わないユーモアの底力が、時代を超えて現代の観客の魂に熱く語りかけてくる傑作です。