ケン・ローチ監督が切り取った60年代ロンドンは、虚飾を剥ぎ取った生々しい生命力に溢れています。ドキュメンタリータッチの撮影が、労働者階級の女性たちの喜怒哀楽を至近距離で捉え、観客をバタシーの喧騒へ引きずり込みます。キャロル・ホワイトらの演技は、その街で呼吸する人間そのものの重みを放っています。
ネル・ダンの原作が持つ断片的なスケッチを映像化した本作は、活字では届かない街の音や熱気を見事に定着させました。原作の精神を継承しつつ、映像ならではの即興性で社会の最深部を抉り出す演出は、単なる再現に留まりません。時代を超えて観る者の魂を激しく揺さぶる、鮮烈な魂の叫びがここにあります。