橋口亮輔監督が理不尽な世界で足掻く人々の魂を捉えた傑作です。本作の魅力は、剥き出しの人間を映し出す凄まじいリアリズムにあります。篠原篤ら俳優陣がそこに「生きる」ことで、観客は彼らの絶望や虚無感、そして微かな温もりを、自らの肌で感じるような共感覚的な体験を味わうことになります。
社会の片隅で声を殺す人々を見つめる監督の眼差しは、冷徹でありながら究極の慈愛に満ちています。不器用で醜くも美しい姿は、観る者の心の奥底にある「生の渇望」を激しく揺さぶります。これは絶望の先にある微光を信じたい、すべての大人たちに捧げられた魂の鎮魂歌です。