田村正和が魅せる拝一刀は、静謐な色気と凄絶な哀しみを湛え、従来の剣客像を塗り替える孤高の美しさを放っています。宿敵・柳生烈堂を演じる仲代達矢との魂の激突は、単なる復讐劇を超えた崇高な芸術。修羅の道に差す、我が子の小さき手という希望の光が、観る者の胸を熱く締め付けます。
原作劇画の泥臭い暴力性に対し、本作は映像特有の叙情性と様式美を極めています。暗殺者の仮面の裏で揺れる父性を、繊細な視線や沈黙で描き出せるのは映画の特権。壮絶な死闘の果てに浮かび上がる、運命に抗い繋がろうとする親子の絆は、まさに映像でしか到達し得ないエモーショナルな極致であり、至高の人間ドラマです。