本作の真髄は、戦争が残した消えぬ傷跡を、一個人の内面にまで鋭く掘り下げた凄まじい心理描写にあります。主演のタデウシュ・ウォムニツキが見せる、沈黙の中に苦悩を湛えた演技は圧巻の一言。銃声が止んだ後の世界でなお続く「心の戦争」を、彼は震えるような繊細さで体現し、観る者の魂を激しく揺さぶります。
荒廃した境界の風景が、そのまま登場人物たちの断絶した心象風景と重なる演出も見事です。過去の罪悪感と未来への希望の間で揺れ動く人間模様は、単なる戦記映画の枠を超え、許しと和解がいかに困難であるかという普遍的な問いを私たちに突きつけます。モノクロームの映像が描き出す、静かなる激情と魂の彷徨に胸を打たれる傑作です。