フィリップ・ド・ブロカ監督が放つ本作は、戦争の重圧を軽妙なステップで飛び越える極上の娯楽作です。マルレーヌ・ジョベールの輝きとミシェル・ピコリの深み、マイケル・ヨークの純粋さが共鳴し、逃走劇の中に至福の人間賛歌を宿しています。絶望下で光る「生きることへの執着」を、ユーモアという高潔な武器で描く演出はまさに圧巻の一言に尽きます。
ロベール・サバティエの原作が持つ繊細な物語は、映画化により躍動する色彩と砂漠の熱量へ昇華されました。映像ならではの広大な風景と躍動感は、観る者の心に自由への渇望を鮮烈に呼び起こします。悲劇を喜劇へと反転させるマジックに、映画という媒体が持つ真の豊かさを感じずにはいられません。