本作の真髄は、家族という共同体が持つ「目に見えない絆」の瑞々しい描写にあります。ミシェル・セローとニコル・クルセルの円熟味溢れる演技は、単なるコメディの枠を超え、日常の些細な諍いや喜びの中に潜む深い慈愛を鮮やかに描き出しました。観る者は、彼らが織りなす情熱的な対話に、自分自身の居場所を見出すような温もりに包まれるはずです。
ジャンニーヌ・ボアサールの原作小説が持つ内省的な美しさを、本作は「空間」の演出で見事に昇華させました。文字で綴られた姉妹たちの情動は、スクリーンの中で屋敷の空気感と同化し、映像ならではの芳醇なノスタルジーを醸成しています。原作の精神を継承しつつ、家族の生命力をよりダイナミックに捉えた本作は、映像化における一つの到達点といえるでしょう。