小林正樹監督が描く戦地のリアリズムは、観客の倫理観を激しく揺さぶります。梶を演じる仲代達矢の、泥にまみれ絶望に縁取られた眼差しは圧巻。個の良心が巨大な軍隊という暴力装置の中で摩耗し、それでもなお「人間」であり続けようともがく姿は、崇高なまでの悲劇性と美しさを放っています。
第3部・第4部では、極限状態における人間の尊厳がより鋭い葛藤として描かれます。平和への理想と、殺生を強いられる現実。その板挟みで震える魂の慟哭は、時を超えて観る者の胸を貫きます。圧倒的な映像美と俳優陣の熱演が、真に生きる意味を突きつける不朽の傑作です。