藤岡弘が放つ圧倒的な「静」と「動」のコントラストこそが、本作最大の白眉です。感情を削ぎ落とした仮面のような表情の裏で、復讐の業火を燃やし続ける主人公の孤独。その眼差しは法や道徳を超越した「野獣」のそれであり、見る者を一瞬でスクリーンの中の冷え切った空気感へと引きずり込みます。
七十年代特有の血生臭くも虚無的な美学が全編を貫き、社会から逸脱した男の剥き出しの生が眩いほどに描写されています。黒沢年雄ら実力派との緊張感あふれる競演は、現代の作品では味わえない硬派な質感を際立たせており、観る者の魂の底を揺さぶる一作に仕上がっています。