この作品の真髄は、社会の隙間を軽やかに、そして強欲に渡り歩く一家の姿を、痛快な喜劇へと昇華させた点にあります。アクセル・ストレービューとキルステン・ヴァルターが魅せる、息の合った掛け合いと類まれなコメディセンスは圧巻です。彼らが体現する不完全な人間賛歌は、権威を笑い飛ばすエネルギーに満ちており、観る者の心を一瞬で解き放ってくれます。
犯罪という不穏な要素を、家族の強い絆と多幸感で包み込む演出も見事です。単なるドタバタ劇に留まらず、格差社会への皮肉をスパイスとして効かせながらも、最終的には人生をいかに楽しむかという本質的なメッセージを突きつけます。時代を超えて愛される、人間臭さと愛嬌が詰まった極上のエンターテインメントと言えるでしょう。