あらすじ
ロックミュージシャンになる夢を諦めて以来パッとしない毎日を送るサラリーマン鈴木良一は、職場の同僚・寺島裕子が気になっているものの話し掛けることができない。ある日、1匹のミドリガメと運命的に出会いピカドンと名付けるが、同僚に笑われてトイレに流してしまう。すぐに後悔する鈴木だったが、ピカドンは下水道を通って地下に住む謎の老人のもとにたどり着く。
作品考察・見どころ
園子温監督が放つ、過剰なまでの純真さと狂気が同居した特撮ファンタジーの傑作です。長谷川博己の振り切った怪演は圧巻で、卑屈なサラリーマンから傲慢なロックスターへと変貌する魂の咆哮が、作品に凄まじい熱量を与えています。特撮とミュージカルが融合した独創的な演出は、理屈を超えて観る者の感情を強烈に揺さぶります。
本作の本質は、忘れ去られた夢や孤独な魂への優しき眼差しにあります。巨大化する亀は、無償の愛が生み出す奇跡と残酷さの象徴です。捨てられた物たちが言葉を持つ地下世界の哀愁と、西田敏行の深みある演技が、使い捨ての現代社会に対する痛烈な風刺と、それでも消えない愛の尊さを鮮烈に描き出しています。
映画化された原作や関連書籍を読んで、映像との違いや独自の世界観を楽しみましょう。