リスボンの下町情緒を現代的な感性で見事に蘇らせた本作は、一つの「中庭」という閉ざされたようでいて開かれた空間を通じて、人間模様の滑稽さと愛おしさを鮮烈に描き出しています。ミゲル・ギレルメやセザール・モウランといった実力派キャストが見せる絶妙な掛け合いは、まるで洗練された舞踏のようであり、日常の何気ない会話の中に潜む皮肉と優しさを多層的に表現しています。
ただのコメディに留まらない本作の真髄は、失われゆくコミュニティの絆への憧憬と、変化し続ける時代への力強い肯定にあります。鮮やかな色彩感覚とリズミカルな演出が、観る者の心に陽気な風を吹き込み、隣人と笑い合うことの尊さを改めて教えてくれます。ポルトガルの魂が宿ったこの映像美は、観る者を幸福な祝祭の時間へと誘う最高の一作です。