吉田喜重監督が描く耽美的な映像美は、十七年に及ぶ女性の情念を凄まじい純度で結晶化させています。岡田茉莉子の息を呑む美しさと生への渇望は、観る者の魂を激しく揺さぶります。移ろう季節の風景は、時の残酷さと愛の悲劇を象徴する装置として、鮮烈に画面を支配しています。
愛に殉ずる女と生に迷う男。対照的な二人を通し、本作は生きる虚無と愛の呪縛という重厚な問いを突きつけます。岡田茉莉子の凄絶な幕切れは、日本映画史に刻まれる美しき絶望です。圧倒的な映像美学が誘うこの悲劇は、鑑賞者の心に消えない刻印を残すことでしょう。