アルミン・ローデとアレクサンダー・ヘルトという二大名優による、魂を削るような演技の応酬こそが本作の白眉です。無骨な男たちの間に漂う緊張感と、ふとした瞬間に漏れ出る孤独や渇望の表現は、観る者の胸を強く締め付けます。人間の内面に潜むエゴと良心の葛藤を、これほどまでに生々しく、かつ美しく描き出した演出には脱帽するほかありません。
幸福という概念の裏側に潜む危うさを鋭く照射する本作は、金銭や成功がいかに人の心を狂わせ、絆を試すのかという普遍的なテーマを突きつけます。冷徹なまでに静かなカメラワークが、剥き出しになった人間性の滑稽さと悲哀を見事に捉えており、鑑賞後には人生の深淵を覗き込んだような深い余韻がいつまでも胸に残ることでしょう。