あらすじ
明治末期、美貌と男まさりの侠気で人気を呼んでいる柳橋の鉄火芸者が、縄張りを広げようと悪辣な手段を講じる悪徳ヤクザ一家に、仲間たちと共に対抗する。
作品考察・見どころ
東映任侠映画の黄金期を支えた「緋牡丹のお竜」こと富司純子の引退を飾る本作は、まさに一大叙事詩と呼ぶに相応しい風格を纏っています。鶴田浩二、高倉健という二大巨頭を筆頭に、往年のスターが揃い踏みする豪華絢爛な布陣は、一人の稀代の女優に捧げられた究極の敬意と言えるでしょう。彼女が体現してきた凛とした美学と、銀幕から去る寂寥感が共鳴し、観る者の心を激しく揺さぶります。
最大の見どころは、鈴木則文監督による様式美を追求した圧巻の演出です。タイトル通り、画面いっぱいに舞い散る緋桜の鮮烈な色彩は、散り際の美学を象徴し、凄絶な立ち回りを芸術の域へと昇華させています。義理と人情に生き、伝統を守り抜こうとする者の誇りが、鮮烈な映像美とともに刻み込まれた、日本映画史に燦然と輝く珠玉の記念碑的作品です。