エジプト映画界の至宝アーメド・ザキとアサール・エル=ハキムが放つ、抑圧された魂の叫びが胸を打ちます。経済的困窮により愛を全うできない若者の苦悩を、二人は情熱的な演技で体現しました。社会の不条理に翻弄される繊細な表情は言葉以上に雄弁に観客の心を揺さぶり、出口のない閉塞感と愛の切実さを見事に描き出しています。
文豪ナギブ・マフフーズの原作を映像化した本作は、文字による描写をピラミッドという視覚的象徴へ昇華させました。不変の歴史を刻む巨石と、現代を彷徨う個人の対比は映像ならではの残酷な美しさを放っています。社会制度の壁に挑む愛の尊厳を、これほど鮮烈に突きつける傑作は他にありません。