レフ・クレショフ監督による本作は、単なるコメディの枠を超え、モンタージュ理論がもたらす「映画的リズム」の極致を見せつける歴史的傑作です。アメリカの喜劇映画を徹底的に研究し、それをアバンギャルドな編集技術で再構築する手腕は圧巻。画面から溢れ出すスピード感と緻密なカット割りは、観客の視覚を強烈に刺激し、映像が持つ根源的な躍動感を現代の私たちに突きつけます。
キャスト陣の強烈な身体表現も見逃せません。ボリス・バルネットらの躍動感は、記号化されたステレオタイプを逆手に取った鋭い風刺として機能しています。西側諸国が抱く歪んだ偏見を笑い飛ばしながら、映画というメディアが持つ「虚構を真実へと変貌させる力」をメタ的に提示する本作の知的な遊び心は、公開から百年を経てもなお色褪せない輝きを放っています。