この作品の真髄は、1980年代フランスという特異な時代の空気を、過剰なまでのエネルギーで切り取った点にあります。単なるコメディの枠を超え、登場人物たちが放つ瑞々しい生命力と、当時の若者文化が持つ奔放な自由さが画面いっぱいに溢れています。アンヌ・テセードルらが見せる、計算され尽くしたコメディセンスと愛らしいキャラクター造形は、観る者の心を一瞬で掴みます。
演出面では、色彩豊かなビジュアルと軽快なテンポが絶妙なシナジーを生んでいます。欲望を肯定し、笑い飛ばすという潔いメッセージ性は、現代の映画にはない「生の輝き」を放っています。他者の目を気にせず自分を解放することの喜びを、これほどまでに無邪気に描き出した本作は、まさに映画という媒体でしか表現し得ない多幸感に満ちた一編といえるでしょう。