この作品の真の魅力は、心理学者が自らの脆さに直面した際の底知れぬ恐怖を、緻密な心理描写で描き出した点にあります。ヴィクトリア・プラットの繊細かつ力強い演技は、理性的であろうとする専門家が、制御不能な執着という闇に飲み込まれていく過程を鮮烈に体現しており、観る者の心拍数を容赦なく跳ね上げます。
日常の聖域であるはずの診察室が、一転して出口のない迷宮へと変貌する演出は見事です。救済の手を差し伸べる側が、逆に追い詰められていく逆転の構図は、人間関係の不確実性と信頼の脆さを鋭く突きつけます。テレビ映画特有の緊迫感溢れるテンポも相まって、最後の一秒まで目が離せない心理サスペンスの白眉と言えるでしょう。