本作の魅力は、九〇年代後半の香港が放つ混沌とした熱量と、瑞々しい感性が融合している点にあります。葛民輝のトリッキーかつ繊細な表現力は、都会に生きる若者の孤独を体現しており、画面越しに体温が伝わるような生々しさがあります。変幻自在なアメーバのように形を変え続ける感情の機微を、実験的でスタイリッシュな映像美で捉え切った演出はまさに圧巻です。
ポップスターたちが魅せる計算を超えたアンサンブルは、愛の不確かさへの肯定を鮮やかに描き出します。定型に嵌まらない自由な関係性の中にこそ真実があるというメッセージは、不器用なまま繋がりを求める現代人の心に深く突き刺さります。時代を超えて観る者の恋愛観を揺さぶり続ける、都市型ロマンスの傑作と言えるでしょう。