横須賀、ドブ板通り。水兵相手のキャバレーが立ち並ぶ一角で売春ハウスを営んでいた一家は、取り締まりで商売が立ち行かなくなり、豚の飼育を始める。そんなある日、幹部から死体処理を頼まれた元客引きの男は、世話をしている豚にその死体を食わせてしまう
今村昌平監督の狂気が宿る本作は、敗戦後の混沌とした横須賀を舞台に、人間の底知れぬ業と生命力をこれでもかと叩きつけてきます。特筆すべきは圧倒的な熱量を帯びた映像表現です。米軍基地の影で喘ぐチンピラたちの滑稽な野心と、豚というメタファーを通じた「食うか食われるか」の生存競争が、凄まじいリアリズムで観る者に迫ります。 クライマックスの伝説的な豚の暴走シーンは、もはや映画史に残る奇跡といえるでしょう。秩序が崩壊し、泥にまみれながら足掻く長門裕之の熱演は、観る者の魂を激しく揺さぶります。動物的な本能を剥き出しにして突き進む姿に、戦後日本の歪みと、そこから這い上がろうとする凄まじいまでの民衆のエネルギーが凝縮されています。
監督: 今村昌平
脚本: 大塚和 / 山内久
音楽: 黛敏郎
撮影監督: 姫田真佐久
制作会社: Nikkatsu Corporation