フランキー堺という不世出の表現者が持つ、天性のリズム感と身体性が全編に躍動する傑作です。ジャズドラマー出身の彼が体現する独自の「スウィング感」は圧巻。乳母車を引く足取り一つにさえ、戦後復興期の力強い鼓動と人間への慈愛が刻まれており、観る者を理屈抜きで高揚させるエネルギーに満ちています。
中平康監督によるモダンな演出も白眉です。日常の風景を鮮やかな映像美で切り取り、懸命に生きる庶民の哀歓を乾いたユーモアで包み込む手腕は見事。本作は、現代人が忘れがちな「働くことの誇りと悦び」を鮮烈に突きつけてくる、決して色褪せることのない人間讃歌としての魅力を放ち続けています。