アルゼンチン喜劇の至宝とも言えるギレルモ・フランセージャとダディ・ブリエバ、この二人が放つ強烈な化学反応こそが本作最大の白眉です。正反対の資質を持つキャラクターがぶつかり合う際の絶妙な間合いと、計算し尽くされた滑稽な立ち振る舞いは、観る者を一瞬でスクリーンへと引き込む圧倒的な磁力を放っています。
単なる騒動を描くコメディに留まらず、人間の滑稽さの裏にある孤独や切なさを、映像の持つ躍動感で見事に昇華させています。不条理な状況下でさえも笑いへと変えてしまう、生への力強い肯定感。言葉の壁を超えて響く「役者の肉体性」が生む笑いの中に、人間の本質的な温かさを再発見させてくれる傑作です。