あらすじ
植物学者の老人フォーは妻のために木製のロボット“パルム”をつくった。ある日、フォーとパルムの前に女戦士が現れ、天界から持ち出した謎のカプセルを地底世界に届けることを2人に託すと忽然と姿を消してしまう。その直後、地底からの追っ手がやって来てフォーを刺す。死を悟ったフォーはカプセルをパルムのお腹に隠すと地底世界に向かうようパルムに言い聞かせるのだった。パルムは、旅の途中で多くの人間と出会い旅を共にする。ある日、地底世界に行けば人間になれることを知り、地底行きの意志をさらに強くするパルムだった。
作品考察・見どころ
巨匠・なかむらたかしが構築した重厚な異世界は、観る者の魂を揺さぶる圧倒的な密度を誇ります。本作の本質は、単なる寓話を越えた「自己の欠落と再生」を問う哲学的な深さにあります。無機質な木の人形に命の鼓動が宿る瞬間を、平松晶子が繊細かつ切実な演技で体現し、我々を深い没入感へと誘います。
生命の根源を感じさせる色彩と、残酷なまでに美しい独特のデザインが織りなす映像美は圧巻です。愛を求め、己の意義に苦悩する姿は、現代を生きる者の孤独にも共鳴します。忘れていた心の痛みを肯定し、真の自分へと変容していく壮絶な魂の軌跡を、ぜひその目で目撃してください。