阪東妻三郎が放つ凄まじい身体性が本作の白眉です。サイレント映画特有の動的な演出と画面から溢れる殺気は、現代のアクションすら凌駕する熱量を帯びています。影法師の名に相応しい神出鬼没な動きと、光と影の大胆なコントラストが、主人公の孤独と英雄性を鮮烈に浮き彫りにしています。
肉体一つで時代の閉塞感を打ち破るような魂の叫びが、無声のスクリーンから雄弁に響きます。中根龍太郎ら脇役との火花散る攻防も、全編の緊張感を持続させています。観客の想像力を刺激する映像の力強さは、映画という芸術の原初的な興奮を再発見させてくれる至高の体験です。