マリオ・バーヴァの色彩感覚が爆発した本作は、60年代ポップアートが動く彫刻へと進化したかのような究極の映像美を誇ります。モリコーネの官能的な旋律と呼応し、悪の美学を貫く主人公の姿は、既存の道徳を裏切る悦びに満ちています。ジョン・フィリップ・ローの眼光とマリーザ・メルの妖艶さは、画面を支配する圧倒的な磁場を放っています。
原作コミックの冷徹な美を、映画特有のサイケデリックな演出で濃密な幻想へと昇華させた手腕は実写化の極致です。静止画のコマを流動的な光と影の迷宮へと変貌させ、紙面では不可能な「色彩の暴力」を実現しました。退廃的なムードが織りなすこの傑作は、観る者の美意識を揺さぶる至高の体験を約束します。